こんにちは、おしま狩人です。
日本国内でマダニによる感染症が、近年増加しています。
新興感染症として注視されているSFTSや、患者数が右肩上がりである日本紅斑熱は放置しておくと死亡リスクが高い感染症。
蚊やハチのように刺された瞬間にチクッと刺激があればいいのですが、マダニやツツガムシに噛まれてもほとんど痛みを感じることはありません。
気づいた時には手遅れ…
なんてことになるのを予防する意味を込めて、ツツガムシやマダニの代表的な4つの感染症と噛まれないための対策をまとめました(`・ω・´)
マダニやツツガムシに噛まれたときのリスクって?
マダニやツツガムシが血液を吸血する際に、痛みを感じることはほとんどありません。
しかし吸血口から人の体内に流れ込んでくる多くの細菌やウイルスによって感染症を引き起こすことがあります。
代表的な感染症は
- ツツガムシ病(ツツガムシ)
- SFTS(マダニ)
- 日本紅斑熱(マダニ)
- ライム病(マダニ)
これら4つ。
それぞれの症状について簡単に説明していきますね(`・ω・´)
ツツガムシ病
ツツガムシ病が体内に侵入し、症状が出るまでの潜伏期間は5~14日です。
発症すると高熱(39℃以上)や食欲不振に頭痛、皮膚には特徴的な刺し口ができ、体幹を中心とした発疹や全身のリンパ節が腫れることがあります。
- 発熱
- 刺し口
- 発疹
これらはツツガムシ病の主要3徴候とされ、感染した9割以上の患者に現れる症状です。
治療が遅れると死ぬ
かつては死の病として恐れられていたツツガムシ病ですが、現代において死亡リスクはほとんどありません。
ですが病院にいくのが遅かったり、治療が遅れると最悪DIC(播種性血管内凝固症候群)になり、死亡する確率が高くなります。
DICとは血管内で血液凝固反応が以上に発生し、小さな血栓が大量にできてしまう症状のこと。
結果的に臓器不全や過度の出血を引き起こし、死亡します。
ツツガムシ病を保有している確率って?
ツツガムシがツツガムシ病の病原体を保有している確率は0.1~3%といわれています。
病原体は親メスから子メスへと受け継がれる場合(経卵伝播)のみ保有され、その他の共有は確認されていません。
SFTS
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)はSFTSウイルスによって引き起こされる感染症で、2011年に中国で見つかった新興感染症です。
6~14日の潜伏期間を経て発症します。
- 発熱
- 食欲低下
- 嘔吐
- 下痢
これらを高い確率で発症し、その他に頭痛・筋肉痛・意識障害・皮下出血などの症状がでる可能性をもっています。
死亡リスクが高い
SFTSに対するワクチンはいまのところなく、症状に対する治療が適用されます。
致死率は6.3~30%と報告されていますが、50歳以下の死亡例は確認されていません。
西日本に集中している
出典:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは(国立感染症研究所)
SFTSが報告されているのは西日本を中心とした地域です。
日本にSFTSが広がった理由として、渡り鳥によるウイルス拡大が指摘されています。
血液同士の接触でも感染
SFTSウイルスは、血液や体液の接触からでも感染するという報告がされています。
マダニに噛まれた後の流血や傷口の浸出液には気をつけたほうがいいです。
西日本でマダニに噛まれた際は、その後発熱などの症状がないか注意して観察すべきです。
日本紅斑熱
日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)は近ごろ感染者が急増している感染症です。
日本紅斑熱リケッチア(Rickettsia japonica)という微生物が感染することによって発症し、ツツガムシ病よりも重症化しやすいです。
潜伏期間は2~10日程度で、
- 頭痛
- 倦怠感
- 高熱(39℃以上)
- 発疹(紅斑)
などの症状が現れます。
四肢を中心とした紅斑が現れるのが特徴的で、DICや急性感染性電撃性紫斑病を同時に発症することもあります。
電撃性紫斑病って?
電撃性紫斑病(でんげきせいしはんびょう)とは急激に皮膚の壊死が進行する症状のことです。
悪化すると死亡リスクが高まるほか、DICを同時に発症する事例もあります。
日本紅斑熱リケッチアは全国に広がっている
数年前までは太平洋側を中心とした西日本に感染の報告がされていましたが、最近では感染域の北上が確認されています。
感染経路はさまざま
主に日本紅斑熱リケッチアは経卵伝播によって親ダニ→小ダニに引き継がれますが、シカやイノシシの血液を吸血した際に日本紅斑熱リケッチアの微生物を取り入れることがあると報告されています。
つまり、
日本紅斑熱に感染したシカやイノシシ→マダニ→人
に感染が拡大することがあるということ。
ツツガムシは一生に一度の吸血で死にますが、マダニは3回の吸血を行うためこのようなリスクがでてきます。
ライム病
ライム病とはボレリア(Borrelia)という細菌によって引き起こされる感染症のこと。
アメリカ合衆国コネチカット州のライム地方で発見されたため、ライム病と呼ばれています。
症状は感染初期・播種(はしゅ)期・慢性期の3段階で進行し、感染者の約8割は抗生物質を服用することで完治します。
慢性期までライム病が長引くと重度の皮膚症状や関節炎を起こします。
ライム病の感染初期(stage1)
ライム病の潜伏期間は3~30日ほどで、マダニの刺し口から遊走性紅斑と呼ばれる薄っすらと赤い輪っかのようなものがでてきます。(初期症状なしの場合もあり)
”遊走性”という名の通り、紅斑は少しずつ拡大しますが時間の経過とともに軽快します。
その他
- 発熱
- 倦怠感
- 関節痛
- 筋肉痛
- 悪寒
などの症状が現れることもあります。
ライム病の播種期(stage2)
病原体となるボレリアが全身に拡散し、多くの症状がみられるようになります。
例としては
- 角膜炎
- 不整脈
- 発熱
- 筋肉炎
- 関節炎
- 疲労感
- 倦怠感
これらがあげられます。
インフルエンザや風邪の症状と似ていることからライム病と判断されないこともありますが、マダニに噛まれた経験があるならそのことを忘れずに診察時に伝えましょう。
またライム病は野生動物では発症せず、人・犬・馬・牛で特定の症状を現す特徴があります。
ライム病の慢性期(stage3)
ライム病が治療されずに数ヶ月から数年が経過すると、重症化する傾向にあります。
- 関節炎
- 皮膚病変
- 脳や神経系の機能不全
これらの症状は長くて数年に渡って繰り返し発症します。
日本とアメリカのライム病
アメリカと日本のライム病は性質が少し異なります。
日本で発症するライム病はアメリカにくらべて軽症で済むことが多く、ライム病の診断として有効な紅斑が出にくいです。
病原体であるボレリアの性質が異なるのがその理由になりますが、アメリカで有効とされているライム病の検査方法が日本では無効となるデメリットもあります。
マダニやツツガムシへの対策
まずはマダニやツツガムシに噛まれない対策をすることが大事になってきます。
- 畑や山へ入る際に肌の露出を最小限にする
- 防マダニスプレーをする
- 帰宅後はすぐに着替える
- 入浴する
肌の露出を最小限にしても、対策スプレーをしても、噛まれるときは噛まれます。
ですが身体に付着しても、吸血したい箇所へ移動するまでの間にマダニやツツガムシを除去することは可能。
入浴してもダニが死滅するわけではないですが、視認できた場合には状況に合わせ除去することもできます。
ダニが即死するのは60℃以上のお湯
ダニが苦手なのは熱です。お風呂の40℃前後では死にませんが(`・ω・´)
50℃のお湯であれば10分以内、60℃のお湯で瞬時に死滅することが確認されています。
マダニやツツガムシに噛まれたとき
基本的には病院で処置してもらうのがベストです。
マダニは無理に取り外そうとしても身体を宿主に固定するため、セメントのような物質を注入して固定しています。
その後のケアもあるので、できる限り病院でとってもらうのが無難。
噛まれたときに自分で処置する場合
山で仕事をする機会が多いので、いちいち病院なんていってられない。
という方もいるかと思います。
指などでマダニを取り除くって人もいますが、
感染症を少しでも予防するためにマダニ取りやポイズンリムーバーなどのアイテムを持っておくといいですよ。
まとめ
春や秋にかけてツツガムシやマダニに噛まれるリスクは増えますが、
最近は温暖化や自然の生き物が人の住む地域に生息域を広げていることに比例してマダニやツツガムシが生息域を増やしています。
人間を一番殺している生き物は”蚊”で、2014年の調査では年間74万人が”蚊”による感染症で死亡しています。
蚊もそうですが、ダニの生息域も年々広がっていることから感染症による死亡リスクが高まっていきます。
まぁ、あたしは大丈夫だろう…
と慢心することなく、マダニなどに噛まれたら一度は病院に行くようにしておきましょう(`・ω・´)
おしま狩人でした。