こんにちは、おしま狩人です。
ぼくは現在福岡県の新宮町というところで、地域おこし協力隊をしながら狩猟に携わっています。
ちょっとひと仕事終えた開放感と、最近狩猟に関するインプットが膨大だったので、この辺でまとめたいと思っています。
普段は書かないような生々しい話も交えながら、久しぶりに記事を更新していきますね。
人任せな無責任発言
ちょっと、あの生き物が悪いことしてるから殺してきてよ。
狩猟や個体数調整に携わっていると、無責任にこのようなことをいう人がいます。
それはぼくがしている仕事の一部に、生き物を殺すということが通過儀礼的に存在しているので、その行為そのものが目的であって使命のように見えてしまうことによる弊害だと思っていますが。
まぁ、生き物を好き好んで殺している人なんてそうそういないでしょう。
無垢な子どもがミミズを引っ張って引き千切るのと、必死に生きようとしているシカの喉元をナイフで刺すのはワケが違います。
なぜ狩猟をしているのか
きっかけは好奇心でした。
え、生き物を殺したいっていう好奇心?
というような単純なものではなく、人間が生き物として自然と対峙する狩猟という行為に対しての好奇心です。
本来人間を含めた生き物は、何かしらの有機物を摂取しないと命を維持することができません。
その本質的な行為がお金によって見えなくなり、よくわからないシステムをつくって、騙し騙され、ときに喜んだりする人間の生活が滑稽にうつった時期がありました。(今も若干ありますが。。)
そうではなく、命や自然と向き合うことで得られるものってーー。
という好奇心からの現在は、かなり充足したものになっています。
ただ現在が、鳥獣との持続可能な付き合いができていないだけで、やれ害獣だ、個体数調整だと人間都合で向き合っていることで、ほんとはやりたくないのに、まわりにする人がいないから手を下す猟師さんも多いはず。
それは報奨金というカタチで支払われたりしていますが、ぼくは生態系サービスの持続的な享受をするために向き合っています。
キーストーン種としての狩猟者
生態系サービスという言葉がでてきましたが、簡単に説明すると、ぼくら人間が生活しているのは経済サービスの上で行われているように思われがちですが、それ以前に水や空気、知らないところで行われる微生物の分解や光合成など多くの生物活動によって維持されています。
それらの生物が持ちつ持たれつにある関係を食物連鎖、そして生物の関係が複雑に絡み合っていることを食物網といいます。
さまざまな相互作用があって揺らめく食物網の鍵となる生物のことをキーストーン種というのですが、かつては
- 森→オオカミ
- 里地里山の境界線→人間
が担っていました。
オオカミが絶滅し、森のキーストーン種がいなくなり、都市部への人口流出によって里地里山の人間も少なくなってしまった現在、狩猟者のキーストーン種としての役割が大きな負担になっています。
キーストーン種がいなくなると、なにが問題?
キーストーン種がいなくなると、ある種の異常発生が起きやすくなります。
その結果生物の多様性が失われ、限られた種しか生き残ることができません。
限られた種しか生存していない生態系は、変化に貧弱となり、結果的に種や生態系そのものの絶滅リスクが大きくなります。
いま起きているシカ問題もそうですが、世界中でキーストーン種の役割を担っている生き物が絶滅もしくは減少しています。
まぁ、ぶっちゃけ自分たちの世代までなら問題なく過ごせそうですが、それでいいの?って話ですよね。
鳥獣問題と動物福祉
ハンターと常にぶつかり合っているのが、動物保護や福祉の思想が強い人たちです。
ぼくは幸い、突飛な意見を持っている方と衝突したことがないのですが、お互い認め合うまでは行かなくてもいいから、
まぁ、そんな生き方もあるよねー
って許容してくれたらいいんですけどね。
ちなみに動物の5つの自由とされているのが以下の通りです。
- 飢えと渇きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み・傷害・病気からの自由
- 恐怖や抑圧からの自由
- 正常な行動を表現する自由
家畜を殺すときには3と4をなるべく軽減するために屠殺する方法が採用されていますが、野生鳥獣を止めさしする際にも、3と4をできるだけカバーできるような対処をしています。
狩猟への距離感
狩猟というと、普段の生活からとても離れているような原始的な行為のようですが、実際はそうでもないのかなーと。
ぼくからしたら、今の人間の生活のほうが、本来の生き方とはとても離れている非リアルなことのよう。。
という主観的な意見もありますが。
狩猟への距離感を感じるのは、
- シカやイノシシってほんとにいるの?
- 生き物を殺すのは無理…
- そもそも狩猟についてなんにも知らない
などなどの理由があげられるかと。
この記事を読んでいるということは、それなりに狩猟に興味のある方(もしくはすでに従事者)だと思いますが、狩猟はもっと身近な行為だ!
って街中で叫んだところで仕方のないことですからね。
ぼくは少しずつ、まわりの人から理解してもらえればいいのかなと思っています。
まとめ
最近の狩猟関連に対するアウトプットとして、それなりに吐き出せたのかなと。
それぞれのテーマを深掘りして、記事別に書いていく予定です。
変化し続ける自然と、それに寄り添って行う狩猟は楽しいです。
おしま狩人でした。