【狩猟は必要?】という疑問について、4つの観点から現役ハンターが説明する

狩猟

こんにちは、おしま狩人です。

 

シカやイノシシらの鳥獣が起こす被害現状と反比例して、日本の狩猟者人口が急速に減少しています。

 

現在約14万人の狩猟免許保持者がいますが、若い世代(30代まで)のハンターは全体の2割を切っており、将来の猟師人口は絶滅危惧種並みといわれています。

 

野生動物を管理する人材が増えんかのう。。

 

狩猟者が減少しているのは、

都市部への人口集中により狩猟という機会に触れることが圧倒的に少ない、そして狩猟という特殊な行為が嫌悪されていることが大きな理由としてあげられます。

 

それでもごく最近は狩猟免許を取得する人が増えています(`・ω・´)

 

政府や自治体がジビエを上手に利活用しようと取り組んでいる成果でもありますが、それでも狩猟をすることに対して存在する

  • 死ぬ必要のない生き物をなぜ殺す必要があるのかわからない
  • 銃を持っているとか怖い
  • 楽しんで猟をするのはサイコパス

 

これらの疑問や偏見(?)をすこしでも

うん、うん。なるほどねー。

に変えていければと思います。

 

この記事では”狩猟”がどのような立ち位置や役割を担っているのか

  • 生物学的
  • 社会的
  • 経済的
  • 個人的

これら4つの観点から解説していきますね(`・ω・´)

 

生物学的な狩猟

生物学的な狩猟の意味とは、生態系の急激な変化を抑制することです。

  • 特定外来生物の数を減らす
  • 在来種の保護
  • 個体数の管理

これら3つの生物学的な意味合いをみていきましょう(`・ω・´)

特定外来生物の数を減らす

特定外来生物とは、

外来生物のうち、
生態系や農林水産業、人の生命・身体に被害を及ぼしているものや及ぼすおそれのあるもの

参考:農林水産省

を指します。

 

海外から人が持ち込んできた生物によって、もとから生息していた生物が絶滅したり、数が急激に減っていることは知っているかと思います。

狩猟鳥獣では

  • ヌートリア
  • タイワンリス
  • ミンク

などがあげられ、おもに個人が飼育していたものを自然界に放すことで繁殖したケースが多いです。

 

狩猟鳥獣以外の代表的な外来生物には

  • ライギョ
  • ブラックバス
  • ウシガエル
  • ヒアリ

これらが日本に存在し、深刻な被害を生態系に与えています。

外来種と外来生物って?

ぼくも勘違いしていたんですが、外来種と外来生物は異なる扱いをします。

  • 外来種…国内・国外は関係なく、本来の生息地域とはことなる場所に生息している生き物
  • 外来生物…国外由来の外来種
  • 在来種…ある地域に古くから存在する生物種

在来種の保護

外来生物や外来種がもとからあった生態系を崩す恐れ・実際に崩している状態に、人がてこ入れをする必要があります。

 

ヌートリアを例にあげると、

天敵がいないために中国・近畿地方を中心に個体数が増えるに増え、在来種であるタナゴなどの淡水魚や水鳥などのエサを食べつくし、生態系が崩れているという現状があります。

個体数の管理

適正な個体数を保持し、生態系を維持することを指します。

 

シカが増えすぎることでシカ自体が食糧不足となり、普段は好んで食べない木の表皮をも食べつくし、枯れ木が急増している地域があります。

これらは結果的に森林の保水力をなくすこととなり、土砂崩れなどを起こすリスクもあるということ。

 

すべての鳥獣の数を把握することはできませんが、ある程度の生息数予測をたて、個体数を管理する必要があります。

狩猟できる数や種類は毎年更新される

狩猟に関わったことがない方は知らないかもしれませんが、狩猟できる鳥獣は毎年更新されます。

また捕獲できる頭・羽数も変更されます。

 

明治期に捕獲しすぎたエゾジカや二ホンジカ、イノシシはいったん捕獲制限や禁猟となり、現在は増えすぎている状況です。

捕食者であるオオカミの絶滅や、急増した環境を整えたのはいうまでもない人間ですが、これらの生態系の変化を放置しておくわけにはいきません。

 

社会的な狩猟

社会的な狩猟とは、

  • 持続可能な資源は利用すべき
  • 人間社会の秩序をまもる

という考え方のことです。

身近な自然資源の利用例では地熱発電や太陽光発電、竹の有効活用などがあげられます。

自然資源という考え方

狩猟がもっともさかんなノルウェーでは、狩猟者が全体人口の5%存在します。

500万人の総人口がいるなか、狩猟者が約19万人いるので約25人のうちハンターが1人いる計算に。

 

狩猟に関心が高いため、社会的にハンターが受け入れられやすいベースはあるのですが、狩猟が活発なひとつの理由として、シカなどの狩猟鳥獣を”自然資源”として考えている傾向が強いことにあります。

 

将来枯渇するであろう石油や石炭とは違い、自然の中で適切な個体数を保っていれば、食肉や毛皮を継続的に与えてくれる大切な自然資源が狩猟鳥獣というわけですね。

 

地球全体の人口が爆発的に増加し、地球環境の変化と合わさって食糧難になることが予想されていますが、どのように”自然資源”と向き合っていくかが大切だと思っています。

人間社会の秩序を守る

シカやイノシシが増え、餌場を求めて市街地へ出没したり、列車や車と衝突事故を起こす事故が増えています。

 

適正な個体数を管理することで、人間社会の秩序をまもることに繋がるのではないでしょうか。

経済的な狩猟

経済的な狩猟とは

  • 農林水産業被害の予防
  • ジビエ肉の流通
  • 狩猟者が生み出す経済効果

これらのことを指します。

農作物や林業、水産業に大きな被害を与えているのは知っているかと思いますが、ジビエ肉の流通や狩猟者が購入・移動・宿泊することでプラスの経済効果を生み出す点も見逃せません。

農林水産業への被害

シカやイノシシが及ぼす被害は、人間が定住を決めたときから起こっています。

ただし最近は、

  • 農林水産従事者の高齢化、減少
  • 耕作放棄地の増加
  • 豊富な餌場が里山や市街地近郊にある

などのことから個体数が増え、被害額も一時は年間200億円を越えていました。

 

平成29年度は約164億円と減少傾向にありますが、たび重なる自然災害や農林水産業を辞めてしまった人口は年々増えています

鳥獣被害の数字では減少していますが、本質的な解決には至っていないと思うんですよね。

 

自然との付き合いはなかなかに難しい。

ジビエ肉の流通

現在全国で捕獲されているシカやイノシシの総数は平成28年度で約118万頭、平成29年度で約112万頭です。

そのうち食肉として流通販売されているのは約7%、その他は埋設や焼却処分されています。

 

食肉利活用の内訳(平成28年度)は

  • シカ…9%【665トン】
  • イノシシ…5%【343トン】

となっており、シカ1kg単価2,000円、イノシシ1kg単価3,000円とすると、シカ約13億円、イノシシ約10億円の経済効果を生んでいます。

 

飲食店で調理販売することを考えれば、さらに大きな金額に。

 

今後流通するジビエ肉の量は増えていくと予想されるので、ビジネスとして参画する人も増えるでしょう。

狩猟者が生み出す経済効果

猟にもさまざまなスタイルがありますが、

  • 罠用具
  • 銃器
  • 移動費
  • 宿泊費(遠方で猟をする場合)
  • ナイフなどの小物
  • 専用の衣服

など、購入すべき消耗品やアイテムはたくさんあります。

価格はピンキリですが、銃器は比較的高価であること、銃弾やわなは消耗品となっているので、
それなりの経済効果を及ぼしています。

個人的な狩猟

日本における一般的な狩猟は、国家資格である狩猟免許をもち、法的に許された範囲内で狩猟鳥獣をハンティングするというもの。

個人的な狩猟とは

  • 趣味として楽しむ
  • 仲間と親睦を深める
  • 猟犬を育てる
  • ジビエを楽しむ
  • ハンティングを楽しむ

など、人間の本質的な部分にふれる充足感を与えてくれます。

教育されていないことに嫌悪感を感じる日本人

日本では、”個人的な狩猟”に悪いイメージを持つ人が多いです。

あなたは”狩猟をする人”に対して、どのようなイメージを持っていますか?

 

同じような嫌悪感として、株やFXなどの”投資”にあてはめることができます。

共通項は、学校教育の履修科目に含まれていないということ。

 

なんだかよくわからないことに対して、

わざわざ時間を費やして学習するほど暇じゃない

 

のはわかってるんですけどね”(-“”-)”

 

お金が絡んでくると、また別なんでしょうけど。。

実際に投資はお金を生むので、大人になって投資の勉強をする人はとても多いように思います。

明治時代には”狩猟学”が扱われていた

 

海外の文化を取り入れ富国強兵を国策としていた明治期の日本ですが、実は農学系の大学で”狩猟学”という講義が存在していました。

 

林学の一部として講じられていたようですが、興味深いですよね。

 

必須の科目でなくてもいいので、小中学校の総合学習で”狩猟学”のようなカリキュラムを取り入れるようになると、将来のハンター育成や狩猟に対してのイメージが変わってくるように思います。

まとめ

狩猟人口が減り続けている日本ですが、狩猟という行為がどのような立ち位置にあるのかを4つの観点からまとめてみました。

 

きれいごとでは済ますことのできない”狩猟”ですが、人間が自然とうまく付き合っていくための行為として、昔から親しまれていた慣習です。

 

過剰な狩猟や密猟で絶滅した種がいることも事実ですが、この記事を通して以前とは違った視点から狩猟をみてもらえると幸いです。

さらに詳しく狩猟について知りたいのであれば、『狩猟学』をおすすめします。

 

日本の狩猟がどのような歴史を辿ってきたのか、またヨーロッパやアフリカ、アメリカの狩猟はどのようか、今後の日本はどうすべきかなどが網羅的に記されていますよ。

 

 

おしま狩人でした。

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